「土地の相続でよくある3つのトラブル事例と対策について解説」

土地の相続時には、現金や預貯金のみの相続であっても、予期せぬトラブルが生じる可能性があります。
手続きを円滑に進めるためにも、潜在的なトラブルとその対処法を事前に把握しておくことが肝要です。
したがって、本記事では、土地の相続に関連する一般的な3つの問題とその対処方法について解説します。

相続した土地を「平等」に分けようとする際に起こるトラブル

1つ目の問題は、相続財産の分割に関するトラブルです。
相続が発生すると、複数の相続人がいる場合、通常は財産を均等に分割することが求められます。
現金や預貯金のみの相続では、金額を細かく分割できるため、相続人間でのトラブルは比較的少ないですが、不動産などの資産が含まれる場合、均等な分割が難しくなります。
したがって、土地などの不動産が相続財産に含まれる場合、どのように分割すればトラブルを回避できるか、その方法について解説します。

土地の分割方法

土地を分割する方法は、次の4つがあります。

現物分割

例えば、相続財産の形を変えずに、長男には実家、長女には預貯金、そして次男には土地をそのまま相続させる方法があります。土地を区分して「分筆」する場合、この方法は現物分割に該当します。ただし、分筆された土地には条件に応じて価値の異なる場合があるため、必ずしも平等に分配されるとは限りません。

代償分割

相続人の1人が土地を相続し、他の相続人には土地の価値に相当する現金を支払う方法があります。例えば、長男が土地を相続し、次男がその土地の価値に相当する現金を相続した場合、土地の価格が現金より高い場合は、その差額を長男が次男に支払います。

換価分割

相続人が土地を売却し、得た現金を複数の相続人で分割する方法があります。土地の売却に全ての相続人が同意すれば、土地を現金に換えることで分割が容易になります。

共有

土地を、複数の相続人が共同で所有する方法です。土地の売却や利用に関しては、全ての共有者の合意が必要となりますので、トラブルの可能性が高い分割方法とされます。

相続トラブルの対策としては「換価分割」がおすすめ

上述の分割方法のうち、土地を利用する相続人が存在する場合、一般的には「代償分割」が好まれることがあります。ただし、土地を相続する人は他の相続人に代償金を支払う必要があり、それには相応の財政力が求められます。また、土地の評価額には複数の基準が存在するため、価格を決定する際に揉める可能性もあります。そのため、相続人全員が公平に土地を分割する場合には、「換価分割」が推奨されます。土地を売却し現金化することで、細かな金額まで平等に分割できるため、トラブルが生じにくいとされます。

相続した土地の「登記」に関して起こるトラブル

2つ目のトラブル事例として挙げられるのは、相続した土地の「登記」を怠っていたことによるものです。相続した土地を有効活用したり売却したりする場合、その所有権の名義を被相続人から相続人に変更するために「相続登記」が必要となります。しかし、相続登記は法的に義務付けられているわけではなく、また日常生活で土地の名義が問題になることは稀です。そのため、親が祖父から土地を相続した際に、名義を変更せずに祖父の名義のまま土地を所有し続けるケースが驚くほど多いです。

相続登記の際の問題点

祖父名義の土地の相続登記には、以下のような問題が生じます。
1. 名義変更が2回必要:相続が発生した際に土地の名義が祖父のままであれば、まず祖父から父へ、次に父から子へと、2回の名義変更が必要となります。
2. 遺産分割協議書の提出が必要:遺産分割協議書は、複数の相続人で話し合った遺産の分割方法や割合を記した書類です。この書類は相続登記に必要であり、祖父から親への名義変更と親から子への名義変更の両方に必要です。ただし、遺言書が存在する場合や法定相続分に従って相続される場合は不要です。
3. 全員の署名・捺印が必要:祖父から父への名義変更のためには、祖父が亡くなった際の遺産分割協議書が必要です。この場合、全ての相続人の署名・捺印が必要となります。祖父の子や、子が既に亡くなっている場合は、孫に対しても署名・捺印を求める必要があります。

早めに登記を確認することが大切

土地の相続登記を怠ると、後の世代に大きな負担を与える可能性があります。そのため、相続が生じた場合には、迅速に登記手続きを行うことが重要です。2024年4月以降、相続登記は義務化される予定です。不当な理由で登記を怠ると、罰金の対象となることがありますので、相続発生後は速やかに手続きを進めることが推奨されます。

相続した土地の「相続税」について起こるトラブル

2番目のトラブルは、相続した土地に関連する「相続税」に関するものです。相続が発生すると、遺産全体から「基礎控除額」を差し引いた金額に相続税が課されます。基礎控除額は、以下の式で算出されます: 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)。遺産の増加額がこの基礎控除額を超える場合、相続税の支払いが必要になります。

相続税の申告には期限がある

相続税は、被相続人の死亡が確認された日から10か月以内に申告し、支払わなければならないとされています。要するに、相続税を支払うための資金を用意しなければなりません。土地を売却して得た資金で相続税を支払う場合、10か月以内に売却を完了させる必要があります。一般的には土地の売却には3か月から半年ほどかかる場合が多く、場所によってはそれ以上かかることもありますので、注意が必要です。

相続税の準備は早めにしておくことが大切

相続税の申告期限が迫ってから現金を用意するのは、家計に負担をかけることになります。そのため、相続税の額が大きく基礎控除額を超える可能性がある場合は、相続税分の現金を貯めておくことが賢明です。売却資金で支払う予定の場合は、早めに土地を売却することを検討し、期限内に現金を確保するための売却活動を効率よく行い、速やかな売却を目指すことが重要です。

まとめ

土地の相続には、分割や登記、税金など、さまざまなトラブルが潜んでいます。
土地は容易に分割できないため、現金化することでトラブルを回避することができます。
また、親が健康なうちに、家族で相続について十分に話し合い、相続人全員が納得できる方法で分割を決定することが肝要です。
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