「土地売買の流れって?売り手・買い手別の手順や費用をまるごと解説」

土地売買は事前準備が大切

土地の売買に関して、書類や専門用語が多く、これらに慣れていない方々が混乱することはよくあります。そこで、この記事では土地の売却者と購入者を対象に、土地の売買手続きや費用、必要書類などを詳しく説明します。全体の手順や必要な費用、書類について把握しておくことで、売買契約をスムーズに進めることができます。

土地売買にはこの3つのポイントを抑えよう!

土地の売買においては、次の3つの要点を把握しておくことで、契約プロセスを円滑に進めることができます。
1.手順の全体像
2.必要な費用の概要
3.提出が必要な書類
土地の売買を初めて行う方々は、これらの要点のいずれかについて混乱したり、準備が不十分だったりすることがよくあります。そのため、この記事では、これらの3つの要素を中心に詳しく解説していきます。

土地売買の流れ〜売り手側〜

それでは、まずは土地の売買手続きについて見ていきましょう。最初に、売主の立場からの流れをご紹介します。

1.査定依頼

売主は、まず売却したい土地の評価額を見積もるために査定を依頼します。査定を頼む方法は以下の通りです。
・不動産会社に問い合わせる
・不動産査定サイトを検索して一括査定を申し込む
不動産会社に相談する際は、2〜4社に依頼することをお勧めします。その後、最も高い査定額を提示した不動産会社を選ぶのが良いでしょう。一方、一括査定を利用する場合は、口コミや実績、長年の運営実績のある会社を選ぶことが重要です。

2.募集価格決定

査定が終わったら、販売価格を設定していきます。この段階で重要なのは、土地の価値の特性を理解しておくことです。実際、土地は個々に異なる特性を持ち、市況や取引の時期によって価格が大きく変動します。また、この段階での価格は募集価格であり、最終的な価格は買い手との交渉によって確定します。土地の価格は売り手が決定しますが、不動産会社の助言や市場相場、査定結果を参考にすることが重要です。

3.媒介契約

土地の売買をスタートする前に、ますます仲介する不動産会社との「媒介契約」を結びます。媒介契約には、一般的に次のような種類があります。
・専属専任媒介…1社のみに依頼
・一般媒介…複数の会社に依頼
媒介契約が取り交わされたら、売り手は準備を整えて売却活動に取りかかります。

4.契約締結

売却したい土地の購入を希望する買い手が見つかった場合、価格や条件を調整して、不動産売買契約の締結に進みます。売買契約が締結される際には、宅地建物取引士が必ず重要事項説明書を説明し、売り手と買い手の合意後、不動産売買契約書に署名・捺印して契約を確定させます。

5.引き渡し

契約が成立した後は、引き渡しの準備を進めます。引き渡しの前には、以下のような準備が必要です。
・清掃作業
・引っ越し手配
・公共料金の精算手続き
・土地の測量図の準備
・鍵の準備
・建築確認書の整備
・設備の取扱説明書の用意
これらが、土地を売る側の手続きです。

土地売買の流れ〜買い手側〜

続いて、購入者の視点から土地の売買手続きを見ていきましょう。

1.土地探し

購入者は、所望の地域や予算に応じて土地を探します。実際にその場所を訪れ、周辺の環境や雰囲気を調査することが肝要です。

2.購入申し込み

望む土地を見つけたら、不動産会社などに依頼をします。この際には、申し込み手続きとともに、申込証拠金を預けることが一般的です。土地の購入に際しては、事前に具体的な資金計画を策定し、申込証拠金を含む諸費用をしっかりと計算しておくことが重要です。

3.契約締結

土地購入に関する重要な事項について説明を受けます。双方が同意すると、売買契約が成立します。

4.融資の申込・引き渡し

住宅ローンを利用する場合は、融資の申請を行い、住宅ローン契約を結びます。引き渡しは、売り手が登記を完了した後に可能となります。

土地売買にかかる諸費用〜売り手側〜

土地の取引の手続きを把握したら、次は土地売買に関連する費用について見ていきましょう。費用を事前に把握しておくことで、支払いに余裕を持つことができます。土地を売却する際には、以下のような費用が必要です。

土地を売却する際には、これらの費用が必要となるので、事前に諸費用を計算しておくことが肝要です。

土地売買にかかる諸費用〜買い手側〜

次に、土地を購入する際にかかる諸費用について確認してみましょう。

何か見逃していた費用はありませんでしたか?一般的な費用だけでなく、場合によっては追加でかかる費用もあるので、必要な費用を事前にリストアップしておくことが賢明です。

土地売買の際の必要書類〜売り手側〜

続いて、土地売買に必要な書類について確認しましょう。売り手が提出する必要書類は、手続きの段階に応じて順次説明していきます。

土地売却依頼時の必要書類

まずは、土地売却の際に売り手が提出する必要書類を見ていきましょう。
・登記済権利証
・売買契約書
・重要事項説明書
・土地測量図・境界確認書
・固定資産税納税通知書
それぞれの書類について解説していきましょう。まず、「所有権証明書」は、土地の取得時に法務局から発行される重要な書類です。これは土地の所有者を明示する公式な文書であり、所有権の証拠として役立ちます。この書類は一般的にパスポートのような唯一のものであり、土地の所有権を証明します。また、「売買契約書」と「重要事項説明書」は、土地を購入する際に締結される契約書です。万が一、これらの書類が紛失してしまった場合は、購入時に関わった不動産会社に問い合わせてみてください。さらに、「地積測量図・境界確認書」は、土地の境界線や面積を確認するための重要な書類です。これらの書類は土地の購入時に提供されますが、紛失した場合は法務局でコピーを取得する必要があります。最後に、「固定資産税の納税通知書」は、納税額を確認するための書類です。毎年送付されるため、最新のものを用意しましょう。万が一紛失した場合は、所在地の市区町村役所で再発行を依頼することができます。

引き渡し時の必要書類

次に、引き渡し時に必要な書類を確認していきます。
・身分証明書
・実印
・印鑑証明書
・住民票
・銀行口座の通帳
・ローン残高証明書
・登記済権利証
・登記識別情報
まずは、「運転免許証やパスポートなどの身分証明書」と、「印鑑登録された実印」「発行から3ヶ月以内の印鑑証明書」が必要です。「住民票」は、登記住所と実際の住所が異なる場合にのみ必要です。「銀行口座の通帳」は、受け取りたい売買代金を振り込む口座のものを用意します。また、もしローンを返済中であれば、毎年10月から11月にかけて発行される「ローン残高証明書」も必要です。「登記簿謄本・登記識別情報」は、売却する土地を購入した際に法務局から発行されたものを用意しましょう。万が一紛失した場合は、司法書士に作成を依頼することもできますが、その際には5万から10万円ほどの費用がかかります。

土地売買の際の必要書類〜買い手側〜

続いて、買い手側の視点から土地を購入する際に必要な書類を確認していきましょう。特に、書類の発行日や有効期限をしっかりと確認しましょう

土地購入時の必要書類〜買い手側〜

最初に、土地を購入する際に必要な書類を見ていきましょう。
・購入申込書
・印鑑(融資利用時は実印)
・本人確認書類
・印鑑証明書
・収入印紙
「購入申込書」は、土地購入の意思表示書類であり、ローンの申請が行われる前に提出されます。この段階では、まだ解約しても違約金などがかかることはありません。「印鑑」は融資を必要としない場合は、認印でも問題ありません。「本人確認書類」は、氏名、住所、生年月日の情報が確認できる書類を用意しましょう。「印鑑証明書」は、市区町村役場などで取得できます。有効期限内のものを用意しましょう。

土地の決済・引渡し・登記時の際の必要書類〜買い手側〜

次に、土地の取引や引き渡し、登記に関連する書類を確認しましょう。
・実印
・身分証明書
・印鑑証明書
・住民票
買い手が土地の決済や引渡し、登記時に必要な書類は、特に複雑なものではありません。重要なのは、前述した項目とほぼ同じです。発行日や内容を確認して、書類が有効かどうかをしっかりと確認しましょう。

土地売買の契約締結後にあるトラブル事例

土地の取引手続きや費用、必要書類について、だいたい理解できたでしょうか?最後に、実際の土地売買契約後に発生した問題事例を紹介します。これらの事例を参考にして、スムーズな取引を進めるためのヒントを得ましょう。

トラブル1:土地売買後に瑕疵(かし)が発覚した

売却前に、その土地で過去に犯罪が発生したことを知らせず、購入者から訴えられたケースがありました。裁判の結果、購入者が勝訴し、売り手は最終的に約76万円の損害賠償金を支払うことになりました。こうした問題を避けるためには、土地の詳細な情報をしっかりと説明することが重要です。また、重要事項説明書や契約書で「瑕疵が発見された場合の責任」について明確に定めておくことも肝要です。

トラブル2:土地売買後に土地の境界線について隣人とトラブル

土地売買においてよく問題が生じるのが境界線に関する事案です。売り手は、土地を売る前に必ず境界線を明確にしておくべきです。購入者が隣人と争う事態を避けるために、境界線を曖昧にすることは避けるべきです。事前に測量士による測量を行い、境界確認書を取得することが重要です。

トラブル3:土地売買後の契約キャンセル

土地の売買契約が確定した後で、買い手が取引をキャンセルしたいという要望が出ることがあります。このような場合、買い手は違約金の支払い義務が生じますが、支払いを拒否すると訴訟に発展する可能性があります。契約の解除に伴う違約金の有無について、双方が明確に理解しておくことが重要です。

土地売買には、事前に手続きを把握して準備を整える必要があります!

土地の売買手続きについて、理解できましたでしょうか?ほとんどの人が初心者の立場です。特に土地の価格は一意ではないため、比較が難しい側面があります。市場相場や交渉次第で大きく変動するため、不安を感じることもあるでしょう。しかし、これは高額な取引であり、貴重な資産に関わる重要な決定です。ですから、不動産会社に完全に任せるのではなく、売買の流れや費用について基本的な理解をしておくことが望ましいでしょう。不運にも、悪質な不動産業者も存在します。十分な知識を持たずに契約を進めると後悔することがあります。だからこそ、事前に重要事項をしっかりと把握し、円滑な売買契約を目指しましょう。

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